❤投資判断の見極め❤
実際に投資するにあたって,①借り手・入居のニーズがあるかどうか?(誰もが住みたいと思える地域の物件を買う),②金融機関の融資がつくかどうか?(融資が受けられる),③期待した通りの投資(利回り等)であり 本当に安全か?(不動産投資でポートフォリオを組みリスクヘッジする)を判断する必要があります。
これらは,自分だけで判断するのではなく,お金を払ってでも不動産投資の専門家に相談した方が良いと思われます。大きいお金を借りる投資であって,将来の収入まで決める投資ですから 投資判断に対する多少の支出を渋るのは 止めた方がよいでしょう。
私のお勧めする専門家は,米国のIREMという団体のCPM(米国不動産経営管理士)の方々です。(米国の不動産投資家の拠り所です)。日本にもIREM JAPANが設立されており,日本人のCPMが活躍しております。(全国に存在し 近くは関西支部がございます)
① 借り手・入居のニーズがあるかどうか?
これは何と言っても 不動産投資において、一番大切な基本中の基本になります。入居需要がないと 賃料も入ってきませんから、不動産投資のベースとしては至極当たり前です。
投資家である あなた様自身が住みたいか?という観点も大切ですが,それ以上に賃貸市場にマッチしているかどうか?が大切です。
そもそも 比較的築浅物件が多いのに空室が目立つエリアなら,同じ地域の古めの木造アパートは 投資対象にすらならない?かもしれません。
確かに築古アパートは 表面利回りが高く設定されており,既存の賃借人もいて 投資家にとっては魅力的に映るかもしれません。
では,なぜ現行の大家さんは その物件を手放すのでしょうか?
悪く考えると
・大規模修繕しなければならない…とか
・家賃滞納者がいる など
良いように考えると
・減価償却が終わって安心した…とか
・投資目的を達成できた など
どんな物件も 常に満室ということもないでしょうから,割り引いて考えても 都市部なら空室率が約15%くらいでなければ 満足いく投資としては成り立たないのではないでしょうか?
しかし,現在 ガラ空きの物件でも,
空室の理由が
・管理状態が悪く
・新築時から まったくバリューアップしていない
といった状況なら,チャンスだったりすることもあります。
バリューアップして空室も解消でき,近いうちに賃料も上げられるかもしれないからです。そういった意味では 古いアパートも出口戦略を考えるなら 有益と言えるでしょう。
② 金融機関の融資がつくかどうか
収益還元法で融資判断している金融機関なら 都市部から離れている物件は融資されない場合が多いです。何故なら予想賃料の判断もできないし,蓄積されたデータも少ないからです。
これから投資を始めるという方は,なるべく融資期間は長い方が賢明でしょう。なぜなら,融資期間が短いようならADSが高くなってしまいBTCFが赤になってしまう可能性があるからです。(別の面をみると 減価償却の金額が多くとれ、キャッシュが手許に多く残ります。)
木造アパートなら 法定耐用年数の20~22年の融資期間にしている金融機関が多いです。(もちろん築年数が経っているものは 経過年数を控除した年数)
某銀行なら,平成25年現在で30年から経過年数を控除し,その算出された年数に 属性によっては5年まで融資期間を延長してもらえる金融機関もあります。(木造アパートなら最大でも30年まで)
いずれにしても木造アパートなら 新し目の物件を投資対象にした方が,賃貸付けやADSの観点からも 損益分岐点が比較的楽目に設定され ローンのデフォルトの可能性も低くなり安全でしょう。(ただし,ADSが低いからといって,元利均等払いなら元金の返済率は低いです)
一般論ですが 過去3年分の源泉徴収票が提示でき 且つ年収500万円を超える上場会社のサラリーマンなら 最も融資を受けやすいです(他に ノンバンクの借入があると難しいですが…)。
逆に 個人事業主はかなりの稼ぎがないと 融資は難しいでしょう。(トホホ…)
③ 期待した通りの投資であり 本当に安全か
期待した通りの投資(利回り等)かどうかは,それぞれの投資家によっても違います。過度に高い利回りを設定している投資家でも,市場が許さない場合は 絶対に投資できない訳ですから,まともな交渉の中で投資をすれば ある一定程度の期待利回りに落ち着きます。
しかし,その投資が安全かどうかは素人では判断できないものです。プロであっても,近い将来(約5年くらい)の大方の予測しかできません。(汗~)
投資用・収益不動産を扱う様々な業者様がいらっしゃいますが,CPM(米国不動産経営管理士)を置いている業者様を選定することを おススメします。CPMは不動産投資に必要な金融・管理・倫理の知識を理論的に学んでいます。
不動産投資は 経験値も大切な要素ですが,感だけで行うものではなく,経験と理論的な数字によって行うものです。
私がお付き合いしている投資家様は,理論的な数字よりも様々な条件(駅近・広いワンルームである等)や一義的な理由(賃料からローン,管理費などを控除して赤字なら節税効果があって,その赤字は将来に向けて年金として積み立てるなど)で投資しています。
不動産投資は そんな単純なものではありません。全く勉強していない人に 業者が不動産投資を勧めようと話しても、会話が成り立つはずもありません。(つまり,不動産業者のロジックにはまり 優柔不断なら言いなりになってしまうでしょう)
その不動産投資が安全かどうかは,まずご自身で不動産投資の勉強をして,理論をしっかり勉強しているCPMと共に 投資計画を策定し投資物件を選ぶべきです。
【一般的な負債支払安全率の計算】
営業純利益(NOI)と年間負債支払額(ADS)との関係をみた計算式です。一般的に極端な金利上昇や物件の天災などない限り,1.3以上あればローンをデフォルトしない確率が高いといえます。
不動産投資には 絶対にとは言いませんが、プロのパートナーが必要です。
また,不動産投資物件でポートフォリオを組むべきです。収入・税金・空室・滞納など様々なリスクをそれぞれで補い,また,スケールメリットを生かせた投資にするためには 複数物件を所有しポートフォリオを組むべきです。これには,不動産投資の専門家,税理士などの税の専門家もパートナーとして必要です。
レバレッジが効いているかどうかも 期待した投資であるかどうかで重要な要素となります。一般的には,LTVを高くすればレバレッジが効くことになりますが,あまりLTVを高くしすぎると ローンのデフォルトの危険性があるので気をつけるべきです。レバレッジが効いているかどうかは,
K%(ローン定数)よりFCR(総収益率)とCCR(自己資本配当(収益)率)が大きいければレバレッジが効いているとうことになります。
それぞれの計算は次の通りになります。
K% = ADS(年間負債支払額) ÷ LB(ローン借入額) という計算になります。
FCR = NOI(営業純利益) ÷ (E(自己資本) + LB(ローン借入額))
CCR = BTCF(税引前キャッシュフロー) ÷ E(自己資本)
レバレッジが効いているというのは,簡単にいうと 銀行(金融機関)と大家さんが「ある事業(収益不動産)に出資」し,出資割合に応じず 大家さんがたくさんの配当をもらうということです。
例えば 株式会社ですと、株主は原則として 出資割合に応じて配当金をいただく訳ですが(配当優先株なんてものもあるので一概には言えませんが…。),不動産投資事業では,デット投資家たる金融機関が あらかじめ設定された配当(ローンの返済金)しか受け取らないからそんなことが起こるのです。
(つまり それ以外で残ったキャッシュは、エクイティ投資家(大家さん)のもの。ただし,税金も持って行かれますが…)投資原則からいえば 奇妙な配当になる訳です。
いずれにしても レバレッジの効いた投資でなければ、リスクを背負う意味はありません。(レバレッジが効いているからといって,返済金の大きいリスクも問題ですが…)